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2003 年度 実績報告書

幼児期の他者理解をうながす要因についての検討:親子関係から仲間関係へ

研究課題

研究課題/領域番号 14710064
研究機関山形大学

研究代表者

園田 菜摘  山形大学, 教育学部, 助教授 (00332544)

キーワード向社会的行動 / 感情推論 / 仲間関係 / 幼児期 / 縦断研究
研究概要

昨年度の研究では、幼児期の他者理解をうながす要因として親子関係を取り上げ、母親の共感性は年中児の『嫌悪』の推論の強度と関連することが示された。本研究では、縦断的な調査により、子どもの他者理解能力や母親の要因が、その後の仲間関係での子どもの向社会的行動にどのような影響を与えるかを検討した。
対象は、昨年度対象となった年中児33名のうち、1年後の調査が可能だった29名(男児13名、女児16名)である。それぞれの子どもは、幼稚園での自由遊び場面を観察され、仲間への向社会的行動が測定された。向社会的行動の行動カテゴリーは、『身体的援助』『言語的援助』『分与』『共同作業』『慰め』である。また、向社会的行動の先行要因として、『自発』『要求』『子どもによる指示』『先生による指示』がある。なお昨年度の研究で、子どもの感情推論については、『喜び』『悲しみ』『怒り』『嫌悪』それぞれの強度が測定され、母親については、共感性(『感情的暖かさ』『感情的冷淡さ』『感情的被影響性』)と感情認知(『喜び』『悲しみ』『怒り』『怖れ』の覚知)の個人差が測定されている。
年中児時点での子どもの感情推論、母親の共感性、感情認知と、年長児時点での子どもの向社会的行動カテゴリー、先行要因との間の相関分析を行った。その結果、子どもの『喜び』の推論の強度は、仲間への『言語的援助』(r=.37,P<.05)、『自発』的な向社会的行動(r=.36,P<.05)との間にそれぞれ正の相関が示された。また、子どもの『嫌悪』の推論の強度は、仲間への『共同作業』と負の相関が示された(r=-.43,P<.05)。母親の要因との間には、有意な相関は見られなかった。これらのことから、年中児時点で他者の喜びや嫌悪を強く推論する能力は、その後の仲間に対する向社会的行動と関連し、母親の要因は年中児時点で子どもの感情推論と関連することで,その後の子どもの仲間への向社会的行動に間接的な影響を与えることが示唆される。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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