初年度(平成14年度)は、外食場面での子ども連れの家族の関わりを調査するため、ファミリーレストランに協力をお願いし、MD、ミキサーなどの機器を用いたデータ収集を行った。また、付近の幼稚園、保育園において、保護者を対象に、外食の頻度や訪れる場所、家族の着席位置などを調べた。子どもが1人の家族では、子の年齢に関係なく母親の隣に子が着席することが多いのに対し、子どもが2人であると、はじめは、年少の子が母親の隣、年長の子が父親の隣という棲み分けが成立し、のちに年少の子の食事に手がかからなくなってはじめて、そうした棲み分けが消失することが明らかになった。 次の年(平成15年度)は、買い物場面について、観察ならびに質問紙調査によるデータ収集を行った。まず、幼稚園、保育園の園児の保護者に質問紙を配り、買い物に出かける時間帯や一緒に行く相手、カート等の道具の使用状況などを調べた。子どもが多いほど、買い物に出かける頻度は減り、いっぽうで、子どもの人数に関係なく、子どものいない時間帯(たとえば、子どもが幼稚園等にいる時間)が買い物の時間になっていることがわかった。カートの使用は、子どもの動きを拘束するという面では効果的だが、同時に親の動きを制限することも明らかになった。子どもが2人だと、いっぽうの子をカートに乗せ、他方と手をつなぎ、さらに買うべきものをカートに乗せるといった状況もあり、こうした不便が、買い物に出かける時間帯に影響していることも示唆された。食料品売り場での観察データでは、ICレコーダーを使用し、子ども連れの家族がカートやカゴをどのように持ち出していくかを調べた。父親、母親がそれぞれに状況を判断しながら、「子どもをカートに乗せる」、「手をつなぐ」、「カゴを取り出す」などを行っていることが確かめられた。 以上の2場面についての調査にくわえ、駅構内での子ども連れの家族の観察も実施した。
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