本研究は、平成12年度・13年度の同研究者による奨励研究の継続研究である。平成13年度にスクールカウンセラーのカウンセリング訓練に関して先進国である北米での研究調査と研究発表を行い、本年度は、その内容を文献にまとめた。また、北米で広く用いられている3つのスクールカウンセリング理論(包括的理論、総合的理論、発達的理論)の日本への紹介を行い、それに基づいた訓練方法の日本語への変換や応用を平成15年度・16年度に実施できるよう準備を行った。さらに、北米で現在注目されている生徒対象の様々な問題予防プログラム(Peer-Helping Program)を日本の中学校でスクールカウンセラーが中心となって実践することが可能であるか検討中である。 もう一つの研究実績としては、2つの県でスクールカウンセラーとして中学校に派遣されている臨床心理士へのインタビューを行った。インタビュー内容としては、スクールカウンセラーとして実践を行う場合に、専門の相談機関で臨床心理面接を行う場合と違いがあるかどうかであった。その結果、スクールカウンセラーにとって、相談者の問題を査定する能力や反社会的問題へ対応する能力、他の職種との連携能力が特に必要であり、現在のところその訓練が不足していることが明らかとなった。平成15年度・16年度にはこれらの能力を効果的に訓練する方法について探っていく予定である。
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