昨年度までの調査研究およびレビューによって、若い世代、年配の世代、男性、女性、都市・農村の地域差等、様々な特徴を持つ層の方々に対して有効と思われる余暇診断の概念、構成および尺度項目および反応選択肢の検討を行うことができた。 昨年度までの研究成果をふまえ、本年度は余暇活動のうち1)活動・実行的余暇活動、2)鑑賞・評論的余暇活動、3)休息的余暇活動の各領域において、昨年度までに作成した余暇診断(成人版)が妥当なものであるか否かに関して検討を行った。特に3)休息的余暇活動に関しては年輩層では「ゆとり」をキーワードとして、また若年層では「癒し」をキーワードとしてそれぞれ強い関心が持たれていることが明らかになった。一方で本研究における「余暇診断」では休息的余暇活動を、刺激過重状態として測定するものと積極的に休息を求める活動として活動するものとが含まれており、改善すべき点と考えられた。特に後者については今後の改善課題として、日本社会において、積極的休養を苦手とする風土と価値観が存在することがあげられる。また国際的な労働基準であるILO第132号条約に日本は批准していないが、有給休暇のうち2週間は連続取得することとなれば、介護規範が介護保険成立後大きく変化したのと同様の根本的変化が見込まれることが指摘され、法律批准を阻む要因の検討と働きかけが必要であることが指摘された。 余暇診断については英語版を作成するとともに、使用の手引きを作成した。 本年度、日本文化および日本社会を前提として作成された余暇診断について若干の改善を行ったが、いくつか、余暇診断の文言の変更では対応できない根本的な概念形成に関して、いくつかの課題が残された。
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