研究課題
目的:平成15年度は.以下の3点を目的とした。1.探索型臨床研究におけるサイコロジストの具体的役割と系統立った介入方法の検討2.健康心理学の観点から探索型臨床研究における「倫理」概念の確立3.探索型臨床研究における心理学の立場からの介入マニュアルの作成対象:平成14年度〜15年度に東京大学医科学研究所附属病院において実施された6つの探索型臨床研究のいずれかに参加した被験者中20名であった。結果と考察1.まず被験者が探索型臨床研究に継続して参加する上で、重要であると考えられたパーソナリティ特性として、「知的水準・理解力」「冷静さ・疾病の受容」「セルフコントロール能力」「情報希求度」「ストレス耐性」「サポート状況」「価値観」等19項目を選択した。そして病状、医学的治療、投薬状況なども併せて詳細に検討した結果、平成15年度の被験者においても平成14年度とほぼ同様の精神状態の推移が認められた。2.そこで各段階における問題点とそれに対する精神的サポートの内容を検討した。その結果、各段階ごとに以下のような点を中心に介入する必要性が示された。第1段階(参加前または参加直後):不安の共感・受容・個々の問題の解決援助、今後の適切なサポートのために被験者のパーソナリティや希望の把握等。第2段階(参加中):病状の変化に伴う精神状態の推移への対応、人生や自己選択の肯定的受容のための対応等。第3段階(終了・中止後):怒りの受容、抑うつの改善対応、今後の人生に向けての感情の整理の援助等。3.インフォームド・コンセントを代表とするTRCの取り組みを通して、探索型臨床研究における倫理概念として、法的に最低限遵守すべきことだけでなく、被験者の自律性を尊重し、被験者を全人的存在としてとらえたより高次元の「倫理」を提唱した。4.現在上記の結果を元に、健康心理学的観点からの介入マニュアルを作成中である。
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