本研究は、インターネットでプレイできる共有地の悲劇型をした環境ゲームを用いた実験により、フリーライダーの効果と環境変動について、より明確な関係を見いだすことを目的とする。とくに、環境変動の要因をパラメータとして導入すると"Bad Apple effect"よりも、フリーライダーの存在が問題解決の意図を高める可能性と、そのプロセスを明らかする。フリーライダーへの不公平感やそれに付随する怒りの感情により、高いコストを払ってまで問題解決しようとするという仮説を検証する。さらに、個人の認知レベルだけでなく、グループレベルで合意に至るプロセスについても検討を試みる。 このうち、平成14年度は、主にプログラム開発と個人レベルでの問題解決プロセスについて研究を進めた。 1.プログラム開発 環境ゲームについて、プレーヤー数を4人固定から2〜10人で可変できる仕様に変更した。この変更に伴う動作確認や各パラメータ設定の見直し、その確認のための予備実験を行った。 2.実験 フリーライダーの存在が、高いコストを払ってまで問題解決をしようとするに至る要因を検証するために、他者行動を操作した実験を行った。解決意図の促進に影響を与える主要な要因として、フリーライダーへの不公平感と協力者同士の規範意識があり、さらにその背後には、不公平感には怒りの感情、規範意識は他者への共感といった、感情が起因している可能性が確認された。 3.海外打合せ 7月上旬にXXV International Congress of Applied Psychologyで意見交換を行った。また、2月中旬にドイツから共同研究者の来日時に打合せを行った。英語版環境ゲームは、日本語以外のWindows環境での動作確認などが遅れ気味だが、その問題点等は整理され現在その対応中である。 4.成果中間発表 上記経過について、日本社会心理学会及びシミュレーション&ゲーミング学会で中間報告を行った。
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