研究概要 |
平成16年度研究においては、前年度取得の調査データを用いてマスメディア接触、インターネット等のコミュニケーションメディア利用、パーソナル・ネットワーク(対人ネットワーク規模、所属組織等)の相互規定関係についての分析を進めた。現実データによるこれらの分布パターンを確認すると共に、そこで得られた実サンプルでのマスメディア接触量/パーソナルコミュニケーション量のバランスを、柴内(2003)等で提示したシミュレーションモデルの初期パラメータとして投入し、さらにそのパラメータをコントロールすることによって、メディア利用のバランスが変化したときの特性分布の全体的なパターンの変化について検討を行った。 また本年度は結果公表に向けて、先行するコミュニケーションと社会プロセスの相互モデル、すなわち世論変動、伝播、普及などに関する理論・実証研究成果、およびエージェント・ベースド・モデリングによるマイクロ-マクロプロセスに関するコンピュータ・シミュレーション研究を中心とした既存の文献についての網羅的レビュー、および理論的考察を行った。特に精緻化の過程で、社会関係資本(social capital)論における社会的ネットワークとメディア利用(マスメディア、コミュニケーションメディア)の相互影響関係についての議論(Putnum,2000)と本研究に密接な関係があることに着目し、この分野における文献レビューを進めながら理論的関連性について整理検討を行った。
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