本研究では、これまでデータをとらせていただいてきた首都圏にある大手総合電気メーカーに、さらに御協力をいただき、多面評価(360度フィードバック)の追加データを収集し、具体的行動例を尺度のアンカーとする評定フォーマットの作成と検討を行った。使用した項目は、すべて実際の仕事に従事している担当者にインタビューを実施した結果から抽出されたものであり、具体的仕事の行動例に基づくものである。作成された項目の分類整理にあたっては各企業の担当者との議論を通じ様々な立場の人々の意見を参考に最終的な採用可能な項目を取捨選択した。現在、作成された評価項目を用いた多面評価データ(上司、本人、同僚による評価)が集まりつつある。今後、項目反応理論に基づきより精緻な項目分析を行い、どのような項目にゆがみが生じやすいかを検証していく予定である。また、過去の人事データを用い、作成された評定フォーマットの妥当性と検証していく予定である。 その他にも、人事の採用テストで使用される適性検査やパーソナリティ・テストの翻訳等価性についても項目反応理論を用いて分析を行い、どのような項目にどの程度DIF(特異項目機能)が存在しているか検証を行った。この結果は、次回のテストで使用するの項目の修正や決定に反映させていく予定である。
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