本研究は、1947-1965年間における労働者の地域間移動の実態を把握するために、その基礎的作業として、都道府県別の就労移動データ・ベースを作成することにある。データ・ベースは、就業上理由を考慮した移動に注目するために、一般雇用者、自営業などに加え、新規学卒者という3つのカテゴリーごとに収集・整理を行う。産業復興期の労働力移動の実態を散逸が激しい時期に限定して収集・整理し、そのインパクトの測定に利用することを視野に入れている。 都道府県別に刊行されている統計資料の収集を広範囲に行い、統一形式によって整理を行う。労働力移動に関しては、労働省の職業安定業務統計など、職業安定所別のデータも存在する。基本は都道府県別であるが、このような職安別の移動表の作成も行う。 平成14年、15年は国勢調査(1944年、1945年、1946年の人口調査をはじめ、1947年の臨時国勢調査、1948年の常住人口調査、1950年、1955年、1960年、1965年)のデータを収集し、都道府県別に整理を行った。また職業安定業務統計については、各職業安定所で集計されたものを収集している。労働力調査、就業構造基本調査などの収集を行っている。 平成14年度においては、データの直接入力による収集・整理をおこなっていたが、平成15年度には、画像ファイルとして一旦保存したものを文字認識用のOCRソフトで読み込む作業を取り入れた。使用機器の性能向上により、資料としての保管を重視した作業工程に切り替えることが可能になった。入力作業の遅延をもたらしたが、この方法の採用により、資料散逸の保全を強化することになった。
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