本年度は、まず、子育て支援およびそれに関連するテーマに関する最近の内外の研究動向を調べ、その状況を把握した。また、各自治体・行政機関などにおいて子育て支援のためにどのような施策を行っているかについて情報を収集し、さらに専門研究者と意見交換を行った。その結果、政府の少子化対策と連動して、各自治体の子育て支援施策はかなり充実したものになりつつあるが、その一方でその効果と評価に関してはまだ漠然としていて見定めがたい状況にあることがわかった。また、平成12〜13年度の科学研究費補助金・奨励研究において実施した東京都三鷹市の子育て世帯の調査を継続して行い、その分析結果を報告書『子育てと福祉に関する三鷹市民意識調査』(概要編・分析編)としてまとめた。そのなかで、現在三鷹市の子育て支援システムが具体的にどのように整備されているのかを明らかにしたうえで、それが子育て支援の一般家庭への拡充と自治体の財政難のもとでの行政費用削減という二つの対立する方向のなかでどのようにバランスをとるかという困難な課題を抱えていることを様々な角度から検証した。またそれを踏まえて、地域社会における子育て支援の今後のあり方について考察した。さらに平成15年1月には、民間団体「男も女も育児時間を!連絡会」と共同で、東京都小金井市の子育て世帯(標本数1987世帯)を対象にした調査票調査を実施した。この調査結果は3月末に報告書としてまとめる予定である。なお、次年度では、こうした成果を踏まえて、さらにいくつかの対象地域を選定した上で、子育て支援に関する調査を企画し、実施する予定である。
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