本年度は、まず、各自治体において子育て支援施策がどのように実施されているかについて、関連部署・機関に対しヒアリング調査を行った。その結果、都市・地方に関わらず、近年様々な子育て支援策が体系的に整備されてきている一方で、保育所の民営化等をめぐって限られた財源で地域住民のニーズにどのように応えるかという点では都心部ほど理念的にも技術的にも解決の難しい諸問題を抱えていることが分かった。こうした知見並びに昨年度東京都小金井市の子育て世帯(標本数1987世帯)を対象にした調査票調査の結果を踏まえて、本年度は横浜市を対象に、有配偶者世帯の20歳から40歳までの女性を母集団として調査票調査(「結婚と子育てに関する横浜市民意識調査」)を実施した(計画標本数1200世帯、有効回答票票387、回収率32.3%)。そのデータを計量的に分析した結果、諸々の子育て支援施策に対するニーズは、他の都市部の自治体とほぼ同様の傾向にあるが、相対的に父親の子育て参加に対するニーズが高いことなどが分かった。先行研究において、父親の育児参加は母親の子育て不安を軽減する役割が認められており、なおかつ自治体の子育て支援施策としてはこれまで比較的に手薄であまり効果をあげていないことを鑑みると、今後の子育て支援施策において重要なポイントになりうることが指摘できる。なお現在、以上の成果を研究論文としてまとめ、あわせて調査報告書および一般図書として一般に公表する予定である。
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