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2002 年度 実績報告書

政治的秩序の変革と再生産過程におけるジェンダー要因の分析

研究課題

研究課題/領域番号 14710124
研究機関新潟大学

研究代表者

杉原 名穂子  新潟大学, 人文学部, 助教授 (00251687)

キーワードジェンダー / 住民投票運動 / 巻町 / 公私
研究概要

政治領域への女性の進出にはいまだ根強い障壁が横たわっていると考えられるが、今回の調査地である新潟県巻町、徳島市、高知県窪川町のいずれのケースにおいても、住民投票運動の中で女性層の動向は大きな役割を果たした。この女性たちの積極的な活動は政治秩序およびジェンダー秩序の変動を示しているのだろうか。今年度は新潟県巻町のケースを中心にこれまでの調査結果の検討を行い、地域政治の中での女性の活動を可能にした要因について整理した。その結果、女性が地域政治の問題に関わるにあたり、男性とは異なる論理とネットワークを用いていることが明らかになった。伝統的な女性役割は女性の活動の場を家庭を中心とした「私的」領域とし、「公」的領域から女性を排除してきた。そのため、伝統的な家のあり方が解体していったことと性役割意識の変容が今回の女性層の積極的な活動の背景にあること、そのため世代が重要な要因になっていることがわかった。
他方、今回の調査対象地での焦点は原発問題と可動堰問題であり、「環境」「自然」vs近代的な成長、開発、効率の論理という対決軸によって展開されている。いわば、女性にとって親和性の高いイシューであった。また、女性の活動は署名・カンパといった活動が中心であり、私的領域を中心的な生活の場としている女性たちにはうけいれられやすいものであった。母親運動など、伝統的な女性の運動とは活動スタイルが異なるが、今回の女性たちの運動はジェンダー秩序の変革を示しているのか、それとも伝統的なジェンダーの枠内での、いわば女性的な活動にとどまるのかが問われることになる。よって、次年度はヒアリング調査をさらに継続し、住民投票をめぐるイシューに関与する中で、女性たちはあらたな政治的アイデンティティを獲得しつつあるのか、そして公私に分断された領域をのりこえつつあるといえるのか、の2点について特に分析を加えることにする。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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