不平等構造の把握は、階層移動を代表とする機会不平等と、所得を代表とする結果不平等の両面からアブローチする必要がある。また、その計量分析においては、マクロデータとミクロデータによる2通りの方法がある。本研究課題は、その両データから不平等と民主制の関連性について分析を行うのであるが、その始めとして、次の事柄について研究を行った。 (1)マクロデータの収集 民主主義指標、及び、経済指標、不平等指標などについての国際データの収集を行った。それぞれについて、代表的なデータを入手することができた。その指標は多岐にわたる。 (2)ミクロデータアプローチによる社会階層論からの計量分析 質問紙調査の代表である「社会階層と移動についての調査」のデータを用い、社会階層論的立場から分析を行った。特に、階層帰属意識と所得分布についての人々の意識についての分析を行った。 (3)先進的計量分析手法についての文献収集および研究 近年では、一般線形モデルとして、とりわけ、被説明変数が二値であるモデルにおいて多く発展している。プロビットモデルやロジットモデルが代表である。これらのモデルが含まれる文献を収集し、研究を行った。 (4)データ分析機器およびソフトウェアの購入および研究 データや手法を知っていても、それを手計算で行うのは、現在では、非効率的である。効率化のためには、分析ツールとしてのコンピュータやそれを使うソフトウェアについての理解が不可欠である。これらを使用するための研究をも同時に行った。
|