研究概要 |
2003年4月にスタートした支援費制度は、ケース記録の重要性を高め、新たに個別支援計画、契約書の作成を必須のものとした。このことにより職員の利用者支援は、専門職主導から利用者主体へと意識や具体的方法の変革を余儀なくされている。このような状況を鑑み、本研究では,ケース記録・個別支援計画・契約書といった記録を媒介とした、情報共有の意義と可能性について考察するために、障害者施設職員へのアンケートおよびフォーカスグループディスカッションを実施し、現場実践における記録作成および活用の現状と課題について把握した。 調査データからは、各文書、利用者と職員の対等な関係性を担保するには、職員の意識や支援技術の未確立、利用者や家族の意識、社会資源の未整備等、多くの課題を抱えていることが把握できた。 記録に記載された情報を利用者支援に活用するためには、各文書のリンケージの必要性が明らかになった。利用者情報の共有については、職員と利用者との二者関係の充実が前提として重要であり、この関係を核として、施設同僚、他機関、家族、地域住民と利用者支援に関する情報ネットワークを構築することが重要であることを提言した。 この情報ネットワークにおける個人情報の保護と活用についてを次年度以降の課題とし、さらに考察を深めていく予定である。
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