平成14-15年度の研究において、(1)諸資料による地域婦人会の構造や機能に関する歴史的変遷に関する検討、(2)都道府県レベルの地域婦人会をまとめる「全国地域婦人団体連絡協議会(全地婦連)」の活動状況の聞き取り、(3)石川県松任市において、地区の「地域婦人会」を解散し、自主的な女性ボランティア・グループを立ち上げた「えむの会」活動状況の聞き取り、の3点から「地域婦人会」のあゆみや現在的な状況、活動理念についてのデータを収集してきた。 平成16年度は、これらの聞き取りによる事実把握と、収集した各種資料・文献との検討にもとづいて、歴史的観点も含めて「地域婦人会」を理論的に類型化した。そして、この類型にもとづいて、それぞれの「地域婦人会」を取り巻く集団間ネットワークに関する仮説の精緻化をはかり、都道府県レベルの単位婦人会会長へのアンケート調査を実施した。なお、このアンケート調査は「全地婦連」事務局との連携のもとにおこなった。この調査データを統計的に分析し、類型ごとの「地域婦人会」の特徴を把握するとともに、既存の婦人会組織の維持および活性化の方向性についての知見を得た。 また、量的調査とともに「えむの会」への質的調査も引き続き行った。市町村合併という節目にあたり、「えむの会」自体もまた解散することから、量的調査では見えてこないコミュニティにおける地域集団の実態を把握することができた。 これらアンケート調査および事例研究から、3年間にわたる「地域婦人会」研究の総括をおこなった。
|