介護福祉士・社会福祉士等の福祉専門職養成において、実習生より現場実習中による虐待行為や不適切処遇を見聞きしたという相談がみられる。残念にもそのような職員が存在するという事実に立って、自分がそのような行為の行わないのみならず、将来福祉専門職として、利用者や他の職員と共に職場においてそれを防止していく技術が求められている。本研究では、そのような援助技術の向上をめざし、平成14年度は、(1)「虐待等に関する意識調査」と(2)実習現場や施設現場の実態調査を実施、(3)福祉職養成校における現場実習の分析と、(4)事例をめぐる学生の意見と意識の分析、(5)研修プログラムの素案作り、を行った。 (1)については福祉専門職の養成校の学生とその父母、他学科学生とその父母等に意識調査「虐待等に関する調査」を行い、4381ケースを集計、分析した。その結果を、高齢者世代、介護福祉士、教諭と比較してみた。また、高齢者虐待も含めた、老人福祉論の講義終了後の変化についてその差異について分析し、福祉教育全般や、高齢者虐待に関する教育の効果の影響についても分析した。(2)全国の在宅介護支援センター400箇所に、アンケート調査を実施した。その内容は、高齢者虐待や不適切処遇の実態と、そのようなケースへの援助のために、福祉職が必要な知識や技術、教育や研修についてである。(3)においては福祉職養成校における現場実習中に、学生が抱えた課題やその際の対処行動等について分析した。そしてスーパービジョンやグループワークを通して、どのように解決策を見出していったか分析した。(4)では、実習中に虐待場面に遭遇した学生の事例を、福祉職養成校の学生に提示し、どのように対応するかの意見と意識を、養成校の教員との関係も含め分析した。(5)では、研修プログラムの素案を実習生とともに30ケースほど作成した。
|