介護福祉士・社会福祉士等の福祉専門職養成において、実習生より現場実習中による虐待行為や不適切処遇を見聞きしたという相談がみられる。残念にもそのような職員が存在するという事実にたって、自分がそのような行為を行わないのみならず、将来福祉専門職として、孤立することなく問題を提起し、利用者や他の職員ともに職場においてそれを防止していく技術が求められている。本研究では、そのような援助技術の向上をめざし、介護福祉士・社会福祉士養成の実習指導における高齢者虐待についてのスーパービジョンとアドボカシースキルの獲得のためグループワークプログラムの開発を目的とする。 第2年度は、(1)文献調査と資料収集、(2)スーパービジョンの事例研究、(3)高齢者虐待のアドボカシースキルの獲得のためのグループワークプログラムの作成、とした。 (1)については、本テーマに関する内外の図書、資料、ビデオソフトを収集し、理論研究も含めた文献調査および文献研究を行った。 (2)については、第1年度で行った「意識調査」と「現場実習の分析」の結果をもとに作成することになっているが、調査対象を介護福祉士中心としたため、今年度は社会福祉士に調査をさらに実施しデータを収集し、「現場実習の分析」を追加し行った。 (3)については、aスーパービジョンについて専門家より情報提供を受け、方法と道具(ツール)の開発を試みた。予備的に5ケース程度のグループスーパービジョンとロールプレイ技法を取り入れたプログラムを試みた。b施設職員を中心とした現場実践者より、取り組み等について情報を収集した。c現場実習での経験をもとに福祉職に対しての高齢者虐待防止に関するプログラムの作成と検討を25ケース程度行った。 それに加え、創造的教育学のワークショップに参加し、演劇的手法を中心に、総合芸術をとおして展開されるグループワーク手法を学び、自己開示や自己表現、コミュニケーションのトレーニングの効果等、グループワークプログラムの作成の検討を行った。
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