本年度は「参与観察をもちいたスーパービジョン・モデル」を策定するための基本的な調査研究として、神奈川県内の2ヶ所のD乳児院およびK乳児院にそれぞれ月1〜2回程度の割合で訪問した。その具体的な内容としては、非観察者となる職員と同様の勤務時間のなかで職員の動き(子どもとのかかわりを中心とした)などを参与観察し、午後(幼児の午睡時間)と勤務時間終了後にそれぞれ30分から1時間の感情への振り返りを中心とするスーパービジョンを行い、MDに録音し、記録を取った(次年度にはこれらの会話分析を行うため、文字化する予定である)。また、乳児院での食事場面を被観察者の振り返りのための素材として録画したビデオテープを提供し(感じたことについてさらに聴き取りを行う)、また今後食事場面と特化し研究者の行動分析研究に活用するため、DVCに録画記録した(現在その分析方法について検討し、研究継続をしている途中である)。また、その他の施設で行われているスーパービジョンについて調査するため、愛知県内児童養護施設に出張し、参与観察によるスーパービジョンも試みた。 その他、当初の予定のように「参与観察」と「スーパービジョン」による社会福祉および他領域を含んだ文献研究を行っており、またこの成果とともに以前までの研究プロセスをまとめた論文を本学児童学研究所紀要「児童学研究」第5号に発表した。
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