平成15年度は、昨年度の調査結果を第17回日本社会福祉学会において、「ケアマネジメントにおける社会資源活用に関する研究(1)」のタイトルで報告を行った。フロアより、他の地域における在宅介護支援センターとの比較や活用を巡る要因の分析について示唆を受けた。9月には社会資源活用のプロセスについて、修正グランデッド・セオリー研究会において報告を行った。同研究会では、コアカテゴリーとしては「最適化(=主体がその環境においてもっとも効果的な状態になること)」を生成し、その観点からケアマネジメントの支援過程について論じている。 さらに、8月に和歌山県G市にある5カ所の地域型在宅介護支援センターに勤務するケアマネジャー6名に対して面接調査と業務の参与観察を行った。各ケアマネジャーに、各3ケースについて、半構造面接を実施した。その結果、ケアマネジャーが社会資源を活用するにあたっては、ケアマネジャーの経験から蓄積された、いわば手持ちの社会資源のなかから、利用者の状態や家族状況に合わせて社会資源を選別することが明らかにされた。選別を行う要因としては、1.サービスの質に信頼がおけること、2.一つの事業所で複数の種類のサービスを提供していること、3.公共交通機関が利用困難であるため、利用者宅に近いか、サービス供給者が移動の手段を保持していることの三要因が示された。昨年度実施したA市における調査結果と比較すると、地理的な要因がサービス選択に強い影響を及ぼしていること、社会的な状況から、家族や近隣などのインフォーマルな人間関係が、社会資源の選別に強い影響を及ぼしていることが示された。さらに、兵庫県C市の基幹型在宅介護支援センターのケアマネジャーに対しても、調査を実施し、基幹型在宅介護支援センターの地域における総括的な役割について明らかにした。
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