本研究は、我が国における社会人大学院や修了者の処遇のあり方についてその方向性を明らかにすることを目的に3か年の予定で実施するものである。なお、実施に当たっては、社会人大学院の中でも最も人数が多い経営学系を中心に研究を行った。 平成14年度においては、各種文献や調査結果を収集し、社会人大学院修了生や企業の人事担当者に対するインタビュー調査を行った。その結果、社会人大学院に対する社会人のニーズの高まりがみられ、国内大学院はその整備が急速に進んでいるものの、大学院修了者にとっては企業内における処遇に対する不満も大きく、企業も大学院修了者を高く評価していないことなどが明らかになった。 平成15年度においては、社会人大学院修了生や企業に対するより詳細なインタビュー調査を行うとともに、フィンランド及びオランダを訪問し、MBA担当者、MBAを修了した社会人、MBAに在籍している大学院生、MBA修了者を採用している企業に対するインタビュー調査を実施した。この結果、明らかになったことは以下のとおりである。 ・両国のMBAにおいては、1年間で修了するフルタイム型に加え、在職者を対象としたパートタイム型のMBAコースを併設しており、その移動も容易である。 ・修了生の採用企業は、採用時においては、MBAを持っていることを重視しているものの、採用後の処遇に成果に応じて評価しており、成果がよくない従業員は比較的短期に解雇している。 平成16年度においては、より詳細なインタビュー調査を実施するとともに、大学院修了者に対するアンケート調査などを実施する予定である。
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