研究概要 |
1)文献資料等によるデータ収集 平成14年度に行った調査から,聾学校における単一障害児への指導方針と聾重複児への対応についての関連性が示唆されたことを受け,全国の聾学校のコミュニケーションモードに関する方針について,聾教育関連の研究大会資料やインターネット等を用いて整理した。その上で,1)手話を積極的に取り入れており,そのことを積極的に公表している学校と,2)公的には「聴覚口話法による指導を行っている」としながらも,内実として手話を取り入れた指導を行っている聾学校を,質的調査を行うための対象として抽出する作業を行った。 2)質的調査を中心としたデータ収集 文献資料等による検討をもとに,1)手話を積極的に取り入れており,そのことを積極的に公表している学校として,H県立ろう学校,N県立ろう学校への調査を,2)公的には「聴覚口話法による指導を行っている」としながらも、内実として手話を取り入れた指導を行っている学校として,Tろう学校,N県立N聾学校,O市立聾学校への調査を実施した。 全体を通じて,コミュニケーションモードが単一障害児と重複障害児とで共通しているため,教員と子ども,あるいは子ども同士でのやりとりがスムーズになされている点が共通していた。 さらに,1)の2校とO市立聾学校の共通点として,主に以下の2点があげられた。 (1)単一障害のクラスと重複障害のクラスとが最初から分断されているのではなく,授業の内容によって,合同で授業が行われたり,分かれて授業が行われたりしており,柔軟な教育課程の編成がなされていた。 (2)個別の指導計画の立案,作成が,重複障害児を担当する教員だけでなく,学部全体の共通認識のもとに行われていた。 また,2)の3校からO市立聾学校を除いた2校の共通点として,以下の2点があげられた。 (1)単一障害のクラスと重複障害のクラスの授業は基本的に分かれて行われていた。 (2)個別の指導計画の立案,作成は重複障害児を担当する教員同士での話し合いを中心に進められていた。
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