平成14年度は、研究計画に基づき、二つの課題を遂行した。第一は、今年度の研究課題の遂行であり、第二は研究成果の海外学会での公表である。具体的には下記のとおり。 第一に、今年度の課題であった、事例(6)(7)の分析をおこない、19世紀末において、教育学の科学化運動のなかで、「教職の専門職性」概念がジェンダー規範の創出を伴って変化し、大卒相当の高度な教養を中核とする知識基盤から、教授スキルの取得こそが専門性の中核としてみなされるようになったことを明らかにした。この事例(6)(7)の分析過程において、補完的資料収集が必要となりアメリカ・ボストンへ調査旅行をおこなった。 第二に、最終年度であるため、研究成果をアメリカにおける教育学関係の最大の学会American Educational Research Associationの年次大会において発表をおこなった(於カリフォルニア州サンディエゴ)。この成果は高く評価され、アメリカにおけるHistory of Education Societyの年次大会プログラム・コーディネーターに抜擢され、大会発表申請論文のレフリーを務めるとともに、ミズーリ州カンザス・シティで開催された年次大会に出席した。なおこの渡航は研究計画に含まれていなかったため、私費にておこなった。さらに、東京学芸大学紀要55集に、昨年度の研究成果をまとめ公表した。
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