研究概要 |
平成14年度の研究目的は、知的障害児者に対する生涯支援(就学前から学校卒業後まで)の観点から、彼らの日常の家庭生活場面における選択機会及び自己決定機会の提供状況とそれに関わる要因を調査によって明らかにすることであった。 方法は、縁故法による質問紙調査を実施し、障害児者に関係する親の会等の関係団体や機関を通じて質問紙への回答を依頼した。調査対象は、新潟県内に在宅する知的障害及び肢体不自由のある子どもを持つ養育者約400名であった。調査項目は養育者の子どもに対する選択機会及び自己決定機会の提供状況,また、それに関わる要因を3つの側面(子どもに関わる要因、養育者に関わる要因、物理的要因)から構成し、項目数は計79項目であった。 主に、数量化理論にもとづくデータ分析を行った結果、子どものコミュニケーション・選択技能や行動問題の生起レベル、養育者が選択機会を提供する具体的な手だてを知っているかどうか、養育者の選択や自己決定に対する価値観や日常生活における多忙感、また、家族構成や家庭場面において子どもが選択できるように物品を配置しているか否かなどの物理的要因が、養育者の選択機会の提供状況に影響を与えることが明らかになった。特に、養育者の選択機会の提供状況に大きな影響を与えるのは、障害のある子どもの要因よりも、養育者を含めた環境要因であることが見いだされた。
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