平成15年度は、以下のことがらに取り組んだ。 第一に、本研究の要である大都市社会教育・生涯学習行政の横断的実態把握調査を実施した。その成果は「大都市の社会教育実態把握調査中間報告」として、第26回大都市の社会教育・研究と交流の集い(横浜市職員会館いせやま会館2003年9月)で報告した。 第二に、本研究テーマである生涯学習施設経営における法人活用については、地方自治法改正による指定管理者制度の導入などといったきわめて新しい政策的動向が現れており、そのような動向を導き出している国および地方公共団体の教育行政改革をめぐる理論的整理を試み、成果の一部を日本社会教育学会年報(2003年)に発表した。また、静岡県教育委員会社会教育課のご協力を得て、この間の知見を下敷きに静岡県教育委員会の主催する市町村教育委員会涯学習・社会教育関係研修会を共同設計することで、本研究で得られた知見を公開しつつ、先進地区の動向をとらえた。一つには「市町村合併によって社会教育はどう変わるか」(静岡グランシップ、2003年110月)であり、合併特例法に先駆けて合併した岐阜県山県市、岐阜県瑞穂市、愛知県田原市に学びながら、社会教育行政のすりあわせをめぐる諸問題を協議した。二つには「新たな社会教育行政の構築に向けて-先進事例に学ぶ」(静岡グランシップ、2004年2月)であり、個性あふれる社会教育行政への取り組みが全国的に注目される埼玉県鶴ヶ島市、神奈川県相模原市の取り組みをとらえた。 第三に、地方分権政策移行、普及するNPM型の自治体経営改革の影響を色濃く受けた生涯学習施設経営改革の方針が先駆的に見られる福岡市の校区公民館の実態調査を集中的に行った。
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