14・15年度の調査活動に引き続き、大都市部の生涯学習関連行政の実態把握調査として、大阪市、神戸市、川崎市、福岡市を対象としたヒヤリング調査を実施。この間の調査活動で得た情報を集約し、市町村生涯学習施設・事業経営の今日的状況をめぐる理論的整理を試みた。なお、その成果は、日本社会教育学会編『講座現代社会教育の理論I 現代教育改革と社会教育』(東洋館出版社、2004年)などに公表した。 さらに本年度は、調査の過程で、(1)近年、「子どもの居場所づくり」における市民団体への事業委託が本格的に広げられたことで、行政と市民団体の関係構造が大きく変化しつつあることや、(2)地方自治法改正(2003年)による指定管理者制度の導入により、市町村生涯学習施設・事業の外部委託が本格的に企図されはじめてきていることが明らかになったため、これら二者の動向についての調査も並行的に情報収集を行った。その成果は、前者については、「居場所づくりと公的『支援』」(『月刊社会教育』2005年1月号)などに現段階の情報集約の成果をまとめた。後者については、個別のヒヤリングに加え、この問題に関する公開学習会の設計に参画するなど(日本子どもNPOセンター主催「子どもNPOと行政の協働に関するシンポジウム」2005年2月、など)しつつ、情報収集や議論を重ねている段階であり、今後の理論研究につなげていきたいと考えている。
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