本研究は、大学のファンディング・システムの改革とそれが大学組織に与える影響、大学の組織的対応について分析することを目的とする。 今年度は、大学のファンディング改革と組織的対応との関係に関する分析枠組みの構築のため、それに関連する高等教育財政や組織に関する文献を収集整理した。日本の国立大学や私立大学(私学助成)、さらにアメリカの州立大学やヨーロッパ諸国とくにイギリスの高等教育財政、大学組織に関する文献も収集・整理した。分析枠組みについては、まだ完成したわけではないが、ファンディング・システムと組織との関係についていくつかのモデルというべきものが考えられる。言い換えれば、大学組織において、比較的固定的なコア組織と、機能によって変化する周辺的な組織とを併用するという基本的な構造に、外部の財政的インセンティブが大きな影響を与え、変容を加えつつあり、それにいくつかのパターンがあるようである。 このほか今年度は、戦後日本の大学のファンディング・システムについてその構造的特質と構造変化、さらにそうした変化が組織的構造与える変化について歴史的に検討した。
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