平成14年度には、大学のファンディング改革と組織的対応との関係に関する分析枠組の構築のための文献レビュー、戦後日本の大学のファンディング・システムについての歴史的研究を行ったが、平成15年度は、それに引き続いて、国際比較と日本の現状についての調査と分析を行った。 国際比較については、英国と米国における大学のファンディング・システムの改革と、それに対する大学組織の対応を検討した。イギリスについては英国のオクスフォード大学とシェフィールド大学を事例に、政府と高等教育財政審議会(HEFC)の政策の動向に対応して、両大学がいかなる対応をし、大学運営やガバナンスの上でどのような変化があったのか、また、外部研究資金の増加に対する学内資源配分の再編成について検討した。米国の大学では、ミシガン大学とカリフォルニア大学バークレー校を取り上げ、主に研究と大学院教育における財政基盤を調べた。日本の現状については、従来国立大学の財政の中核に位置づけられてきた教育当積算校費や学生当積算校費といった当たり校費の教育研究基盤校費への移行に伴って生じた、幾つかの大学での校費の学内配分方式の変化の傾向を検討し、また、現在進みつつある国立大学の法人化によるファンディングの変化が大学組織や大学のガバナンスにどのような影響を与える可能があるのかを検討した。
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