研究概要 |
本研究において、平成14年度は特に以下の活動を行った。 (1)ソウルにおける先行研究文献・インタビュー調査 ソウルにおいては、地方国立大学の位置づけについての史的整理を行うため、国立国会図書館、国立中央図書館、ソウル大学校、延世大学校、高麗大学校を中心に先行研究調査を行った。また、「国立大学発展計画」の立案に関与した人物に対してインタビュー調査を行った。その結果、70年代以後、様々な形で継続している地方国立大学特性化政策に加え、民主化以後の90年代から本格的に整備されつつある地方分権政策や、金大中政権で立案された国家的な人的資源開発計画「人的資源開発基本法」)とが相関作用をもって、「国立大学発展計画」に影響を与えていることが分かった。また、財政補助政策の観点からみれば、地方国立大学には「国立大学発展計画」以外にも、「地方大学育成対策」や「頭脳韓国(Brain Korea)21」プログラムにある地方大学育成分野などの多様な種類の競争的資金配分があり、「国立大学発展計画,との整合性をにらみながら大学側がプランイングしている実態を見ることができた。 一方で、教授協議会や職員労働組合といった一般大学構成員からは、こういった競争的な資金配分の環境や、国家指導による統合・再編について強い抵抗があることも、職員労働幹部へのインタビューから把握することができた。 (2)済州大学校における実地調査 韓国地方国立大学のフィールド・ワークとして、済州大学校を訪問し、調査をした。同大学での戦略的計画(Strategic Plan)の手法に基づいた長期計画、また国の人的資源政策と地域(済州道)の発展計画に基づいた人材育成計画や重点研究分野の指定・学部・学科のあり方について、資料収集・調査や総長並びに企画処長(副総長格)などへのインタビューを行った。この調査の成果の一部を「韓国地方国立大学と生涯学習」(『長崎大学生涯教育叢書』第2号、長崎大学生涯学習教育研究センター2003年)に掲載した。
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