平成15年度は、主として以下の2つの研究を行った。 第1は、平成14年度から着手した学士課程の職業的レリバンスを測定する指標に関する研究を更に発展させたことである。まず、オランダと日本の大学教育の職業的レリバンスに関して国際比較研究を行い、大学教育の職業的レリバンスに関する回答が、雇用システムのあり方と密接に結びついていることを明らかにした。次に、最近の新しい新規大卒者の雇用形態にも着目しながら、特に採用段階において求められる大学教育の職業的レリバンスについて考察を行い、採用時点で重視される能力項目のみに着目すると、大学教育の職業的レリバンスの意義を見落とす、あるいは低く評価してしまう危険性があることを指摘した。 第2は、平成14年度に社会人の大学院の職業的レリバンスに関する研究を行ったが、大学(大学院)の職業的レリバンスの測定に関する課題や特徴をより明らかにするには、非大学機関を対象とした同種の研究による比較的考察を行うことが必要との認識から、民間のビジネススクールを対象とした職業的レリバンスに関する質問紙(web)調査を実施したことである。職業的レリバンスを測定する質問項目は、社会人大学院調査とほぼ同様なものを踏襲しつつ、これにいくつか新たな指標を付け加えて実施した。現時点では、基礎集計レベルの分析まで終えている。民間のビジネススクールを対象とする研究は、従来ほとんど行われてこなかった新しい領域であり、基礎集計結果を踏まえた詳細な分析・考察と成果の開示は、今後鋭意行っていく予定である。
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