初年度としての本年度は「学校管理職の人事管理プログラム開発」のための前提条件を把握することに努めた。具体的にはプレ調査として実施した学校管理職の力量形成を図るための場としての教育系大学院の可能性に関するマーケティング調査(2002)の結果を分析し、これを学会等で発表(10月)し、その解釈を世に問い、吟味した。期待される学校管理職像の内実、例えば校長の資質・力量をめぐる議論に関して再検討の余地があることが明らかになった。 また、これまで小・中学校(義務制)の校長を対象にした調査に終始していたので、九州及び山口5県の県立高等学校の校長を対象にした実態調査(8月)を行い、その経営的課題について明らかにした。これによって、今後求められる高等学校の校長のリーダーシップのあり方を学校運営組織との関係において整理することができた。 さらに、全国の国公私立大学の教育学部ないしは教職課程の履修の手引きやシラバス、時間割、自己点検評価等を収集(11月)し、学校管理職の養成・研修を行う場としての大学(大学院)の可能性について探ることができた。教育系大学院をブロックの拠点としながらも他大学に人材がたくさん埋もれている実態に鑑み、地域を共有する国公私立大学の緩やかなネットワークを構築することにより、教育系専門職のためのプロフェッショナルスクールを実現する可能性があることがうかがえる。このあたりを次年度の課題として発展的に検討したいと考えている。
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