第2年度にあたる平成15年度は、インドネシアにおける女子の就学とイスラームのジェンダー解釈の相関性を解明する第二段階として、昨年度に引き続き文献によるデータ収集と、主としてインドネシアにおけるフィールド調査を実施した。具体的には、女子の就学の現状と傾向について、インドネシアおよび他の東南アジア、中東イスラーム文化圏との比較考察から抽出された問題群をもとに、インドネシアで女子の就学に特徴的な地域について、国民教育省および州・県・郡レベルの国民教育局における聞き取り調査と、村落レベルでのフィールド調査を実施した。フィールド調査は、ムスリムがマジョリティである西スマトラ州および中部ジャワ州、南スラウェシ州と、逆にムスリムがマイノリティであるバリ州を中心に実施し、ジェンダー解釈が女子の就学に与える影響について、当事者や保護者、イスラーム宗教学校を主宰するイスラーム指導者に対する聞き取り調査と参与観察から実証的に調査した。以下、より詳細を述べる。 1.女子の就学とイスラームのジェンダー解釈の相関性についての検討 (1)イスラームのジェンダー解釈に関わる近年の議論の傾向と展開について、文献および当事者からの聞き取りをもとに分析した。 (2)イスラームのマジョリティ地域とマイノリティ地域、比較の対象としてヒンドゥー教徒がマジョリティを占めるバリ州における女子の就学とジェンダー解釈の相関性の差異を比較検討した。 2.海外調査(2003年8月30日-9月20日) (1)インドネシア国内の統計資料をもとに、州、県、郡単位で女子の就学の現状を分析した。 (2)フィールド地域として、西スマトラ州パダン、中部ジャワ州ジョグジャカルタ、バリ州ブレレン県およびカラガサム県を設定し、女子の就学の実態とドロップアウトの要因、ジェンダー解釈の特質について、参与観察および関係者に対する聞き取り調査をもとに分析した。
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