平成15年度は、平成15年度の成果をふまえ、主としてアメリカ合衆国での少年司法政策の展開について以下のように分析を進めた。 1)アメリカ合衆国での少年司法政策を日本に紹介した資料を分析し、感化教育の理念や実態がどのように認識されていたのかを検討した。明治のごく初期において、アメリカ合衆国における感化教育・児童救済運動が報告されているが、そのレポートの作成者や翻訳の過程について分析を進めた。不明な点も多く、引き続き検討していく課題である。 2)昨年度に引き続き、明治期の青少年の逸脱問題の実態分析を行った。各種の統計資料を探索し、数量的な観点から青少年問題の実態に迫る試みを行った。しかしながら、史料的な限界から、質的なデータによる分析が不可欠との感触を得た。 3)19世紀末から20世紀初頭にかけてのアメリカ合衆国における少年司法政策の展開について、二次資料を収集し分析を行った。処遇の実態について一次資料の収集を行うべく調査を計画していたが、種々の事情により調査は断念せざるを得なかったものの、これまでの研究から得ていた少年司法政策の展開の中核にある非行概念の正確についてのアイデアを裏打ちする二次資料を見いだすことができた。この見解については現在まとめる作業を進めているところである。
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