本研究は、日本の「多文化保育」の環境改善を目指すものである。 平成14年度は、「多文化保育」に関する以下の課題を実施した。 課題1.「多文化保育」に関するニーズと意識の調査 (1)調査内容:基本的属性、「多文化保育」に関する認識度、「多文化保育」に関する興味・関心、「多文化保育」に関する印象 (2)調査時期:2002年7月〜8月 (3)調査対象:保育者養成校における大学生 (4)調査方法:質問紙調査法 課題2.「外国人」に対する学生のイメージ調査<調査概要(1)〜(4)に関しては1.と同じ> 課題3.授業内における学習指導 (1)「多文化保育」を想定した指導案の作成指導と指導案分析 (2)男女共学における問題点との比較に関するディベート授業の実施 課題1.課題2.に関しては、現在引き続き質問紙調査票の集計結果を分析中である。 これまで明らかになったことは、「多文化保育」に関する認識度は前回の調査と同等に高い傾向にあり、興味・関心は、前回より高まっているということであった。印象として挙げている事象の多様化も目立った。社会環境の変化により、大学入学以前から「多文化」の現状に接触する機会が多い、といった可能性が示唆できるものである。課題3.の実施過程では、学生が「多文化保育」に対して偏見や誤解を持つ傾向にあることが明らかになった。さらに保育現場の状況を的確に把握していない学生の姿が浮き彫りになった。「多文化」というものの概念的な理解とともに、現場とどのようにかかわりあって研究を展開していくべきか、今後の検討が必要とされる結果である。
|