本年度は、中国地方5県の小学校教員を対象に実施した質問紙調査のデータをもとに、ソーシャルサポートの実態と効果分析を行った論文を2本執筆した。 (1)『教育学研究紀要』掲載論文について 小学校教員社会におけるソーシャルサポート(以下「SS」と表記)の実態について、中国地方5県の小学校教員を対象にした質問紙調査データをもとに分析した。その結果、(1)全体として道具的SSより情緒的SSに対する期待が高いこと、(2)提供者については、現任校の教員仲間に対する期待が高い一方で校長に対する期待は低いこと、(3)属性分析においては、年齢が高くなるほど期待が低くなること、(4)性別間の差異はないこと、(5)職場にサポーティブな雰囲気があるほどSSに対する期待が高いことなどが明らかになった。 (2)『日本教育経営学会紀要』掲載論文について 小学校教員社会におけるソーシャルサポート(以下「SS」と表記)のポジティブ及びネガティブな側面について、中国地方5県の小学校教員を対象にした質問紙調査データをもとに分析した。その結果、ポジティブな側面としては、期待感の高さとバーンアウト傾向との間に相関が認められること、一方でネガティブな側面としては、自由記述分析より、SS提供者の姿勢及び態度いかんによっては、被提供者はネガティブサポートと認識してしまうこと危険性が高いこと等を明らかになった。分析結果を踏まえ、特にSS提供者としての校長の重要性、世代を越えた同僚性構築の必要性及び提供者-被提供者間のミスマッチ低減の必要性等を指摘した。
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