本年度は、文献の収集と日本及びオーストラリアの関連機関に対する実地調査を行った。 これまでの研究及び文献から、後期中等教育段階においては、移行に向けた支援が重要な位置を占めていることが分かった。実地調査では、10月に静岡県東部養護学校伊東分校を訪問し、通常の高等学校の余裕教室を活用する試みに関して、通常の小学校、高等学校の中の余裕教室にできた経緯と教育活動、現状での通常の学校との交流、今後の方向性についてインタビューと資料の収集を行った。2月には、オーストラリア南オーストラリア州アデレード地区の軽度知的障害及び学習障害等のある生徒の後期中等教育段階における支援と中等教育段階以降への移行に向けた支援について資料収集およびインタビューを通した実地調査を行った。 本年度は、文献及び実地調査から小中学校に比べ、後期中等教育段階において移行に向けた支援が重要となること、特に高等学校における移行に向けた支援において、自分の障害を含めた自分の長所と短所に対する認識を高めることが、就労等その後の自立に向けて重要な課題となることが分かった。 文献の収集と日本及びオーストラリアの関連機関に対する実地調査を行うことによって、移行に向けた支援の重要性を探ることができた。今後は、我が国の後期中等教育段階における軽度発達障害のある生徒のニーズや現状で選られている支援について、実際の事例を追いながら明らかにしていく必要があると考えられる。
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