科学研究費の受給初年である本年は、3回、岩手県庁・岩手県立図書館への史料調査を、1回、地方自治研究資料センター(東京都港区)への史料調査を実施し、基礎的な資料の渉猟に努めた。以上によって、史料所在確認をおおよそ完了し、平成14年度後半から史料収集段階に入った。 現時点では、岩手県立図書館の新聞マイクロフィルムからのプリントを、「岩手日報」に限り、約1カ年分にわたり実行し終え、岩手県議会図書館所蔵の議会議事録、行政情報センター所蔵史料の撮影段階に入ったところである。新聞記事のプリントは、他社分・他年度分も含めて継続しなければならないが、費用の関係上、本格的な収集は15年度以降に実施することとした。 なお、地方財政調整制度の設立経緯について、関係者からのヒアリングを実施した。 また、関連書籍(三好重夫『地方財政改革論』、大石嘉一郎『日本地方財行政史序説』、大島太郎『日本地方行財政史序説』などの学術書、『岩手県近代教育史』全4巻、その他)の古書を購入した。今年度日本図書センターから発刊された三好重夫および荻田保(ともに地方財政制度の構想・実施者)の政治談話速記録を新刊で購入した。 平成15年度は、引き続き史料調査を中心に、フィールドワークを実施する予定である。そのかたわら、地方財政調整制度構想者三好重夫(故人)の子息である三好浩介氏、および自治官僚OBである荻田保氏のヒアリングを実施することとしている。 最終的に、16年度に研究の総括を行い、報告書を作成するという見通しである。全体の構想からすれば、未だ着手段階ではあるが、今後は史料の読込のかたわら、随時、研究成果を公表していく予定である。具体的には「地方財政調整制度の社会的基盤」という論文を社会学の分野で発表すべく構想中である。
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