研究概要 |
夏には主にロンドンの国立美術図書館にある一九世紀後半から二〇世紀初頭の雑誌を検証し(『Journal of Decorative Art』、『Cabinet Maker and Art Furnisher』、『Furniture Gazette』、『Display』)、キャリコ・プリント製造会社がこうした業界雑誌を通じて発表する新製品の視覚資料を収集した。そこから、(1)こうした雑誌にみられるデザイン論争の行方、(2)次第に洗練されていく製品の拡販手段-広告デザイン,ディスプレイ・デザインなど-の発達、そして(3)マンチェスター・デザイン学校の位置づけや教育内容の変遷、をたどることができた。また、綿製品が室内装飾のなかでどのように消費されていたのか、そこにデザイナーが発信しはじめていた主流の趣味論がどのように作用していたのか、という視点から、同時代の家庭雑誌の記事を検証し、生産者側と消費者側の意向の比較を行った。 本年度は、これまでの研究の成果を「"美術製造"の周縁-一九世紀半ばのマンチェスターに置ける芸術振興とデザイン学校」(『デザイン史学』)、「室内装飾の表象-近現代イギリスの消費文化に関する一考察」(『デザイン理論』>、また第六回アジア国際デザイン会議における口頭発表「Production and Consumption of Art and Design in Victorian Manchester - Design Education, the Art Treasures Exhibition and William Morris」(同タイトルの論文を『Journal of the Asian Design International Conference』に収録)というかたちで発表できた。
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