今年度は、西アフリカにおける医療ミッションを遂行するために、伝道団体がおこなった女子教育活動について、おもにイギリス国教会伝道協会とロンドン伝道協会が所蔵する史料を使用して調査した。 両協会とも、19世紀後半、積極的に女性宣教師の登用を推進した。かのじょたちの活動は、一連の初期フェミニストたちの運動と連動しなかったこともあり、これまでほとんど研究されてこなかったが、非ヨーロッパ世界において女性宣教師達は、教育者として、また医療者として非常に重要な役割を担っていたことが明らかになった。 たとえば、非ヨーロッパ世界において医師、看護士など女性専門職がミッション活動の遂行にも必要とされるようになったことから、こうした人材を養成するために、インドをはじめとするイギリス帝国の内外では、女性たちを対象とした養成校が作られた。 さらに、帝国の存在は、イギリス人女性が海外において教師としてだけではなく、そこを足場に男性の領域であった医師などの専門職に参入することを可能にしたが、かのじょたちの足跡について、検証中である。 このように、西洋型の教育や医療が浸透していくなかで、非ヨーロッパ世界の人々の身体観がどのように変化したかについては、次年度の研究課題とする。
|