昨年度は大きくわけて2点において大きな成果をあげることができた。まず一つは(1)前年度よりの調査継続、もう一つは(2)新たな学会を立ち上げたことである。 (1)調査・およびデータベース化 東北各県の文字資料出土遺跡の木簡・墨書土器の記録作業を行った。結果として、15遺跡、約400点近くの資料を記録化できた。順次データベース化しており、平成16年度以降もこの作業は続行する必要がある。 なかでも岩手県陸前高田市小泉遺跡においては、大きな成果をみることができた。昨年度より対象範囲を広げた墨書土器であるが、本遺跡はその墨書土器が100点以上出土し、太平洋湾岸域の最北のまとまった資料群である。その内容は古代東北の文献史学的側面からも、また考古学上も大きな問題をはらんだ資料であるが、その正式報告書をまとめるとともに、地元で大規模なシンポジウムを開催することに成功した。 (2)学会の立ち上げ 文化財行政担当者・大学関係者へ研究成果を発表・還元する場として第1回「東北文字資料研究会」(事務局・発起人:村木志伸)を開催することが出来た。平成15年11月29日、30日に開催し、一日目は研究発表会を東北芸術工科大学で開催し、出土文字資料に対する新しい多様な視点からの成果を発表・議論する場となった。2日目はうきたむ風土記の丘考古資料館で資料見学会を開催し、山形県内の出土文字資料を実見しながら検討することができた。2日間でのべ150名以上の研究者の参加があり大成功に終った。
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