本年度は、下記のような研究を実施した。 まず、平成14年度に実施した、茨城県行方郡牛堀町日天月天塚古墳、千葉県印旛郡栄町龍角寺101号墳、同印旗郡印旛町西の原1号墳、同市川市法皇塚古墳、同市川市明戸古墳、同野田市東深井古墳群、同流山市中野久木谷頭古墳、同我孫子市子の神7号墳出土の円筒埴輪・形象埴輪についての資料調査を踏まえ、資料整理作業およびデータ整理作業をおこなった。その結果、当該古墳出土埴輪の資料化・分類作業をほぼ完了している状況である。 また、本年度においても、昨年に引き続いて、いわゆる下総型埴輪およびその前段階の埴輪についての詳細な資料調査を実施した。具体的な調査対象としては、千葉県我孫子市子ノ神7号墳(昨年度より継続調査で今年度をもってほぼ終了)、千葉県市原市小谷1号墳、千葉県栄町龍角寺101号墳(昨年度より継続調査で今年度をもってほぼ終了)、茨城県取手市市之代3号墳、千葉県小見川町城山1号墳、千葉県小見川町城山4号墳、千葉県小見川町三之分日大塚山古墳、千葉県下総町大日山古墳、千葉県下総町木挽崎古墳群、千葉県下総町猿山殿山古墳出土の円筒埴輪・形象埴輪についての悉皆調査(調査検討・観察・写真撮影・調書作成・計測)をおこなった。 一部の資料は昨年度以前からの継続調査であり、また一部の資料については来年度も継続する予定である。現在までにこれらの調査記録や写真資料の整理作業もほぼ終了しており、研究成果については近々公表の予定である。 昨年度および今年度の資料調査および研究を通じて、各古墳の埴輪製作に携わった工人集団および工人の全体像を検討するための基礎データが蓄積されつつある段階である。 また、8月16日・17日に、大手前大学で開催された第52回埋蔵文化財研究集会「埴輪-円筒埴輪製作技法の観察・認識・分析-」にパネラーの一人として参加し、本研究の成果も踏まえて「同工品識別をめぐる諸問題(覚書)」と題する発表をおこなった。
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