最終年度にあたる本年度は、西日本における土器形態模倣の実態として資料収集をすすめた。 データは各府県ごとにファイリングし、表計算ソフトウェアを用いてデータ一覧を作成した。これを元にして現在『畿内産土師器関連資料』を奈良文化財研究所の史料として刊行する予定である。 また、中四国を中心として対象資料の実見、観察、写真や図版による記録作業をおこなった。この作業により、各地域における宮都の暗文土師器模倣形態のあり方に地域的な差異が見受けられることが明らかとなり、従来から想定されている土師器の形態模倣が律令国家の政治的、制度的な原因によるものであるという視点は再検討が必要であることが指摘できる。 目標とした成果の公表は年度内には達成できなかったが、先述した史料を含め、具体的な成果の公表をおこなうことを目的に作業を進めている。
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