1 本年度以前の研究成果の分析・報告 1)秋田方言で進行中の無核型語のピッチパタンの変化(ML→LH)の個人内・個人間変異について検討。言語変化は離散的な語ごとのピッチパタンの置き換えに始まり、それが個人内変異分布全体のずれが起こり連続的変化の様相を呈する、というモデルを提示(LP2002にて発表、Proceedingsに論文寄稿)。また変化の進行を促進する要因として、単語の頻度よりも、語の音形(子音の有声・無声など)の方が重要であることも主張。 2)母音の広狭によるアクセント型の分化がある秋田方言について、「広い母音がアクセント核の移動先になる」という日本語特有の傾向と、「狭い母音のほうがピッチが高い」という母音の固有周波数(IFO)との相互作用について検討。アクセント核が語頭にある場合に限って前者の傾向が後者を上回っているという結果を報告(日本音声学会にて発表)。 2 新規調査・分析 1)2003年2月、3月に秋田県西仙北町で新規調査を実施。内容は(1)地域言語話者どうしの自然談話(DV録画、DAT録音)の収録、(2)多拍語・二音節助詞が後続する文など、さまざまな条件でのアクセント資料の収録。さらに地域的視野を拡大するため、秋田県内他地域での調査を申請、いくつかの町から承諾を得た。15年度内に調査実施予定。 2)従来調査のデータと併せ、秋田方言のFOの音韻論的指定について分析(ICPhS2003で発表予定)。 3)秋田県西仙北町に単語親密度調査を依頼し、承諾を得た。15年度内に語彙調査とあわせアンケート調査を実施予定。現在調査準備中。 3 実績報告の準備 Webページ作成を予定より早く開始。まずは研究の進行状況報告を目指す。15年度内早期の公開に向けて準備中。
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