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2003 年度 実績報告書

法勝寺と諸寺を結ぶ伝承文化圏の研究

研究課題

研究課題/領域番号 14710310
研究機関愛知県立大学

研究代表者

中根 千絵  愛知県立大学, 文学部, 助教授 (80326131)

キーワード法勝寺 / 伝承 / 文化圏
研究概要

今年度は、蔵書目録のなかの奥書から法勝寺の伝来の本、及び、法勝寺について言及した本のデータを論文の中で公表した。また、昨年から今年にかけて発表された新出資料とそれらとの総合的な考察を行った。中世になると、法勝寺は東大寺の宗性や台密穴太流の円観が大きく関わっていくことになり、ここには、平安時代の末期と同様、宗派を超えた面が見られるということ、また、昨年度、法勝寺には、往生伝と関わって四種三昧僧を住まわせる場が用意されており、台密三昧教の聖教である「三陸抄」が法勝寺三昧僧長実によって書かれていることから、法勝寺が谷流の四種三昧行の拠点として名聞利養を捨てる場であると同時に、様々な宗派の連結点の一つとしての役割を果たしていたことを示しているという結論を得たが、中世においても遁世と三昧流とが法勝寺の特徴として継承されているという知見を得た。これらの知見は、文学の分析においても『平家物語』に登場する法勝寺の僧のモデルを考えるうえで有益であり、また、『太平記』の亡卒の怨霊の供養を行う場として現れる法勝寺の位相を読み解く上で重要な視座となるが、特に、今年度、文学との関係で重点的に取り組んだのは、和歌とそれを詠む場としての法勝寺との関係である。これは、貴族社会と寺院社会という二つの社会と法勝寺との関係を立体的に示すという試みでもある。その結果、法勝寺という場で詠まれた和歌、あるいは、それを詠んだ歌人には、幾つかの特徴が見てとれた。法勝寺において和歌を詠む歌人のグループは、白河院、鳥羽院に関わる貴族、女房達、あるいは、歌林苑に出入りする者達であり、そこで、詠まれる和歌は、花・月・雪という院の御幸(自然の支配を示す行事)に関わる歌題を好むということである。それの指し示すところは、法勝寺の場が貴族社会において治天の君を象徴する場として機能していたということである。以上のことを論文の形とした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 中根 千絵: "法勝寺蔵書と三昧僧〜法勝寺伝承文化圏の再現を目指して〜"説林. 51. 1-12 (2003)

  • [文献書誌] 中根 千絵: "目録・奥書に見られる法勝寺"愛知県立大学文学部論集. 52. 1-17 (2004)

  • [文献書誌] 中根 千絵: "法勝寺で詠まれた和歌-治天の君と花雪月-"説林. 52. 5-17 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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