研究概要 |
現有資金の範圍内で、王傳〓氏の下記演目のビデオ撮影及び録音を行なった。 (1)自身の演技を撮影録畫したもの。胡蝶夢:嘆〓。琵琶記:剪髪賣髪、賞秋。爛柯山:前逼、悔嫁。尋親記:跌包。精忠記:刺字。荊叙記:繍房、投江撈救、見娘。連環記:小宴、大宴、梳妝、擲戟。金印記:不第、投井、歸第金圓。衣珠記:折梅、堕冰、園會、飢荒、放糧、衙敘、珠圓。鸞叙記:遣義、殺珍、拔眉、探監。水滸記:劉唐、捨巾、前誘、後誘、殺惜後半、放江、活捉。四絃秋:送客。翡翠園:預報、拜年、謀房、諫父、切脚、恩放、自投、副審、封房、殺舟、遊街。紅梨記:訪素、盤秋、醉隷、花婆、三錯。滿床笏:卸甲、封王。叙釧記:相約、討叙。醉菩提:伏虎、當酒、醒妓。千金記:追信、拜將。西廂記:鬧齋、惠明、長亭。(計約60幕) (2)後輩の演技に對する批評を撮影録畫したもの。寶劔記:夜奔。寶娥冤:斬娥(北方崑劇院新編)。紫折記:折柳、陽關。水滸記:活捉。艶雲亭:痴訴、點香。貨郎旦:女彈。鐵冠圖:刺虎。單刀會:刀會。風雲會:訪普。東窗事犯:掃秦。(計約12幕) (3)録音。会場戲:上壽、賜福、送子。一文錢:燒香、羅夢。(計5幕) これらの演目は、現在演じられることの無いものを多く含んでをり、それをビデオ等に殘したこと自體に大きな意義がある(その整理は今後數年かけて行ふ)。その中で使はれてゐる字音は、七つの聾調(陰平・陽平・陰上・陽去・陰入・陽入)を持つ蘇州式中州韻の體系であり、忍收(m, m,l等)の上聾は基本的に陰調に屬するといふことが明らかになった。またその歌法も字音に基くものであり、北曲の旋律と一致しないことが明らかになった。以上2點は本研究代表者がこれまでに研究して明らかにした結果と一致してをり、從前の研究精化を證明する基礎資料の一つとなるであらう。更には演目忠に間々現れる各地の方言のせりふの使用實態もある程度明らかになった。明らかになった内容についての整理は今後數年かけて行なふ。
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