研究概要 |
本年度は昨年度に引き続きWilliam Shakespeareに関してその演劇作品と印刷出版との関係について考察を行うと共に、Thomas Dekkerについての考察を試みた。具体的には、1)DekkerとThomas Middletonによる、The Roaring Girlについて、浮浪者の隠語を巡る場面(5幕1場)を中心にRogue literatureの影響について考察した。 2)リチャード三世像の生成について昨年に引き続き考察した。特に「情報の繰り返し」に着目し、Henry VI, Part 3 Richard IIIという互いに関連する2作品内におけるリチャードの出生時の異常に関する台詞と、Shakespeareが材源としたRaphael HolinshedとEdward Hallの『年代記』(さらにはこれらの財源であったThomas Moreによる一『リチャード三世の歴史』)において既に見ることが出来る情報の不確実性の指摘を比較・検討し、2004年4月におこなわれる第37回アメリカ・シェイクスピア学会におけるセミナー"Repetitio"に"Not Uncnt, Not Untoothed : Repetition, Uncertainty, and Historiography in Henry VI, Part 3 Richard III"と題する研究論文を提出した。 3)Cymbelineに関してHolinshedの『年代記』との関連に関する考察を含む論文"Forms of Empires : Rome and its Peripheries in Cymbeline"が2004年出版のThe Shakespearean International Yearbook 4に掲載されることが決定している。(詳細は別欄参照。)
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