Helsinki CorpusやThe Bible in English on CD-ROMなどの市販のコーパスを利用するとともに、独自に作成した電子テキストも使いながら、中英語から初期近代英語にかけての否定構文、およびその関連領域の調査研究を行った。否定構文の発達については、従来のneV→neVnot→Vnot→notVという発達の流れを再検討した。この研究結果は2003年5月に開催される日本英文学会のシンポジウムで発表の予定である。また、否定の関連領域については、非断定形のanyの発達を方言や文体の立場から検討し、多重否定の衰退との関連を分析した。その結果、多重否定の衰退はこれまで言われていたよりも緩やかな形でanyの発達につながっていることが明らかになった。また否定的なニュアンスを含んだforbidやprohibitなどの語彙の構文に関する研究も行った。Forbidについては、2002年の8月にグラスゴーで開催されたThe 12th International Conference on English Historical Linguisticsで発表し、prohibitについては『英語史研究会会報』にその結果を報告した。
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