今年度は、研究課題につき広く精力的に研究を進めたが、具体的には以下の通りの成果を出した。 (1)論文"Bild per Schrift/Bild per Bild"で、文学の出版物においていかに図像性を表現するか、その際にいかに印刷技術が関わるか、という問題を立てて日独比較をした。 (2)論文"Die Einfuhrung der beweglichen Lettern und die Entstehung der Signifikantenlogik in der japanischen Literatur"において、マックス・ダウテンダイと比較しつつ、石川淳とメディアとの関わりを分析した。 (3)ヨアヒム・リンゲルナッツと村野四郎におけるスポーツ・メディア・文学三者の関係を比較し、学習院大学で口頭発表したほか、要点を"Anstreichungen in den Buchern Heideggers aus MURANO Shiros Nachlassbibliothek"に記した。 (4)読売新聞の記事「デジタル文学」で、ドイツ語デジタル文学(ハイパーテクスト構造を用いる、マルチメディア性を有する、読者参加性がある、など、書籍ではなくコンピューターにおいてのみ具現されうる文学)と日本語デジタル文学との現状を比較・分析した。 (5)縄田雄二編訳『ドゥルス・グリューンバイン詩集』の訳者後記で、ドイツ語詩と写真・CDといったメディアとの関係を論じ、日本語詩の状況と比較した。
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