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2002 年度 実績報告書

スターリン時代のソヴィエト小説における無意識をめぐる言説に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14710365
研究機関稚内北星学園大学

研究代表者

岩本 和久  稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 助教授 (40289715)

キーワードソヴィエト文学 / ロシア文学 / 社会主義リアリズム / 精神分析 / フロイト / オレーシャ / ザルキンド
研究概要

本年度はソヴィエトにおける精神分析の受容について,またフロイトの思想がソヴィエト文学,特に作家オレーシャに与えた影響についての研究を行なった。
その端緒として8月9日から17日まで北海道大学において,8月22日から9月1日まで東京大学において文献の調査を行ない,また関連する書籍を購入した。それらを通じて,ソ連でのフロイト批判,精神分析と条件反射学との対比,フロイトのソヴィエト文学への影響といった状況が先行研究において指摘されてはいるものの,文学への影響については未だ充分に論じられてはいないという課題を明確にした。
以上の作業と並行しながら,過去に主な対象としてきたオレーシャについての研究を継続し,その1部を『ロシア語ロシア文学研究』に掲載した他,10月19日には上智大学での日本ロシア文学会研究発表会において報告を行った。この報告「オレーシャの創作にみるフロイト主義の影響について」では,オレーシャの戯曲『ザンドの死』の分析を通じて,彼が無意識との闘争として創作行為を捉えていたこと,この理解は「作家とは人間の魂の技師である」という社会主義リアリズムの定義と重なるものでありながら,そこにはフロイトの影響を確かに指摘できることを明らかにした。また,この内容を含む著書『沈黙と夢-作家オレーシャとソヴィエト文学』を執筆したが,これは2003年に出版される予定となっている。
ソ連における精神分析の受容についてはさらに具体的な理解を深めるため,2月11日から14日まで北海道大学において,2月24日から3月2日までフロイト博物館(ウィーン)において,3月3日から30日までロシア国立図書館(サンクト・ペテルブルグ)において,資料の調査を行った。ここでは特に教育学者ザルキンドに焦点を合わせ,生理学と精神分析の統合によってマルクス主義的な「新しい人間」を創造しようとした彼の思想の概要を明らかにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 岩本和久: "オレーシャの作品における「庭」の主題について"ロシア語ロシア文学研究. 34. 9-14 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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