本年度の研究は、中期朝鮮語の諸文献を電子テクスト化する作業として、15世紀の主要な中期朝鮮語の文献の入力作業を行なった。入力の対象となった中期朝鮮語の文献は、訓民正音創製(1446年)直後に刊行された、中期朝鮮語の諸文献、すなわち『釈譜詳節』、『月印釈譜』、『龍飛御天歌』をはじめとした諸文献である。現在のところ、『釈譜詳節』の初刊本である巻六・巻九・巻十三・巻十九・巻二十三・巻二十四、『月印釈譜』の初刊本である巻一・巻二・巻七・巻八・巻九・巻十・巻十七・巻十八、および『龍飛御天歌』全、『蒙山和尚法語略録』全の入力作業が終了し、それぞれについて入力に錯誤がないか、校正作業を行なっている。なお、重刊本や復刻本などは、中期朝鮮語の1次資料とはなりえないため、入力の対象文献とはしていない。最終的には、若干の資料をさらに追加する予定である。これらの電子テクストは、ハングルとして出力されるという点において、日本における既存の中期朝鮮語の電子テクストを一歩進展されたものとなり、声調情報などの細部情報も含めた点において、韓国における既存の中期朝鮮語の電子テクストよりも一歩進んだものとなるであろう。これら中期朝鮮語の電子テクストは、来年度において開発予定であるKWIC索引作成ソフトウェアによってKWIC索引化され、さらにその索引を基にして、再来年度において中期朝鮮語の単語結合の研究を行なう計画である。
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