本研究は、インドネシア語およびインドネシアの地方語の一つであるスンダ語の音声について、音響音声学的手法を用いて分析を行なうものである。平成15年度は、前年度に引き続きインドネシア語の母音のフォルマント分析を行なった。 母音のフォルマント分析は、インドネシア語の6母音について、イントネーション型やアクセントを考慮に入れつつ、有声子音と無声子音の後に続く場合にどのような違いが見られるかという点に着目し、一定の条件のもとに母音の音響的特徴を示す第1・第2フォルマイトの値を抽出し、その分布に対して考察を行なった。その成果は『有声・無声子音に後続するインドネシア語母音の音響的特徴に関する考察』として公表した。 一方、スンダ語の音声分析は行なっていないが、前年度に引き続き、分析のための基礎資料となる語彙データベースを並行して作成している。本研究の目的からずれるが、この基礎資料作成作業を、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の夏期言語研修の一つとして平成15年度に開催されたスンダ語研修のテキスト編纂に生かすことができた。さらにその成果から音声面に関する数々の知見を得ることができ、結果として今後本研究を継続する上で貴重な蓄積となった。
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